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【イベントレポート】WCAN 2018/10「WordPress 5.0で変化する CMSと Webサイト制作のこれから」

2018/10/13(土)貸し会議室イールーム名古屋駅前Aにて行われたWCAN 2018/10「WordPress 5.0で変化する CMSと Webサイト制作のこれから」に参加しました。講師は株式会社エイチツーオー・スペースのたにぐちまことさん。PHPやJavaScriptを使いこなすバリバリのエンジニアさんです。イベントタイトルにもWordPressという言葉が含まれているだけあり、セッションはCMSの選定基準やWebビジネスにおける今後の可能性など専門的なお話が中心でした。


WordPress5.0の目玉機能「Gutenberg」 評価はズバリ!…星1つ?!


世界シェアNo.1のCMSであるWordPress。11月にバージョン5.0で「Gutenberg」という新しいエディタ機能が搭載されるということで、ますます注目されていますよね。ブロックタイプでありながらもまるでノートにメモをしているかのような直感的な操作が魅力のGutenberg、実際に使用してみてもそのUIはどこか心地よく感じます。


そんな今話題のGutenbergですが、たにぐちさんの評価はなんと星1つ。その酷評の理由は、サイト制作者目線だから気づくことができる「裏側の処理」にありました。


1. レスポンシブデザインに対応していない


エディタがブロックタイプになったことで、テキストや画像を横並べにする待望の「カラム」ボタンが搭載されました。これで2列表示も思いのまま!…と思いきや、なんとスマホ画面でも2列表示。かえって見づらくなってしまいます。


2. CSSが調整しにくい


表示スタイルをアレンジするためにstyle.cssを開いてみると、そこにはなんとminifyされたCSSコードが。さらに場合によっては、ブラウザ上で指定したスタイルがHTMLのstyle属性に直接書き加えられることもあるそうです。これでは編集もひと苦労ですよね。


3. パーマリンクがわかりづらい


各ページに対して指定するURLの末尾部分、パーマリンク。いざ設定しようと編集画面を眺めても、なぜか編集部分が見当たりません。どうやらGutenbergでは、ページタイトル部分をクリックすることによってパーマリンクの設定画面が表示される仕組みになっているようです。


4. 画像のリサイズが二度手間


画像のリサイズ機能はWebサイトの高速化にも関わる重要な項目。Gutenbergでは画像挿入の方法として「アップロード」と「メディアライブラリ」の2種類が選べるのですが、このメディアライブラリからの挿入は、一度画像をフルサイズで読み込まなければリサイズ設定ができない仕様になっています。ちなみに以前はアップロードでも同じような問題が指摘されていたそうですが、こちらは改善されたとのことです。


5. 本文データが破綻している


ブログなどで記事を執筆する際に、直接サイト内で書くのではなく一度メモ帳などで構成を決めてから清書をするという方は多いのではないでしょうか。ここで問題として掲げた「本文データの破綻」というのは、その手順を逆にした時…つまり一度Gutenbergで書いたテキストをメモ帳にコピー&ペーストした時に起こります。なんでもブロックとして登録されていたテキストの間に、ブロックの範囲を決めるHTMLコメントが表示されてしまうのだとか。この破綻した本文データを手作業で地道に整えていく手間を考えると、一部の目はなかなか厳しそうですね。


Gutenbergまとめ


これらの問題点を洗い出したところでGutenbergの評価をまとめてみましょう。


  1. モダンなインターフェースを目指し過ぎている
  2. データの再利用性が考慮されていない
  3. カスタマイズが考慮されていない

まさに登録したデータの処理方法に注目してこそのコメントですよね。たにぐちさんの「星1つ」という評価も、あながち酷評ではないのかもしれません。


しかしサイト制作者にとっては厳しいと感じるこれらの項目も、Webに詳しくないサイト運用者にとってはあまり重大視されるものではないことも事実です。やはり自分のビジネスを発信する場としてサイトを運用する人は、ページが投稿しやすいこと、サイトの管理が手軽にできることなど表側の事情を一番に考えます。実際に、たにぐちさんの案件でもWordPressというブランド名でクラアントさんの安心感を得るケースは多いそうです。そのような面で、今後WordPressは「Gutengerg」の搭載をはじめに"一般向けのホームページ制作ツールを目指していく"と捉えることもできそうですね。


Web制作会社は呉服屋さん


ではGutengergによって一般の人たちがより手軽にWebサイトを持つことができる未来で、Web制作会社は何を自らの「売り」にしていくのでしょうか。たにぐちさん曰く、実はこの流れは、ファション業界の例に似ているのだそうです。


まだ着物を日常的に着ていた時代。呉服屋さんは個々にあった型でオリジナルの着物を仕立て、人はそれを生涯の財産としていました。しかし時代が変化するにつれ軽装へ移り変わり、現代はユニクロやZARAなどのファストファッションが主流に。日常的に着物を着る家庭は少数派になりました。


Web業界では今後、「Gutengerg」の搭載によってWordPressがファストファッション化していくことが予想されます。Web制作会社が作るサイトは誰もが価値を認めるものなので、完全に撤退するということはありません。しかし必要とされる大半のケースでWeb制作会社がサイトを手がける、そのような時代はもうすでに終焉を迎えているのです。


ではこのような展開において、現代の呉服屋さんは何をするべきだと思いますか?それは、成人式、卒業式、結婚式をはじめ、観光地、地元のイベント行事など「着物を着る機会をプラスしていくこと」ではないでしょうか。


動画によるマーケティング方法を採用するならば、動画というコンテンツに主軸を置いてWebサイトを構築していく。instagramによる広告を主な戦略とするなら、投稿写真と連携したWebサイトの仕組みを提案する。Webサイトがこれからもずっとあり続けるならば、このようにWebサイト自体を要素化してその他の主流のコンテンツにプラスしていく。これが今後のWeb制作会社が持つべき対応力だと、たにぐちさんは結論づけます。


「プラスWeb」の未来を握るCMSのあり方とは


このような時代の流れを汲むために、今後はCMSも「Webサイト制作が関わるあらゆる場面で比重を自由に調整できる力」を蓄えていかなくてはなりません。それは例えばZOHOやGoogleスプレッドシート、Slackなど、外部の主流ビジネスツールと連携する機能です。


CMSは名の通りコンテンツマネジメントが目的のシステムであり、Web制作に欠かせないものと言えど、Web制作に必要な全ての機能を網羅するものではありません。しかし外部のサービスとの連携を測ることで、データの管理方法や運営手順を改善して、運営の自由度を広げることができます。


ここでたにぐちさんが実際に取り組んだのはwebデータベース型のクラウドサービスであるkintoneとWordPressの連携です。なんでも特定のフォームからサイトに送られたデータを外部データベースに貯蓄する方法で、人の手で行なっていた作業をWebで解決して運用コストを下げることができたのだそう。これはまさしく「業務改善プラスWeb」の例ですよね。このように、未来におけるWebのあり方を考えていく上でもCMSの進化…つまり連携機能関連のアップデートは必要不可欠であり、むしろそれらが行われなければ一般ホームページ制作ツールがその立場を脅かすとも考えられるのです。


まとめ


WCAN 2018/10「WordPress 5.0で変化する CMSと Webサイト制作のこれから」でたにぐちさんがお話された所感は以下の3点です。


  • WordPressはGutenbergで「一般向けのホームページ制作ツール」を目指す?
  • ホームページ作成ツールは2次ブームへ
  • CMSでWebサイトを作る時代は終焉へ?

世の中には全てを把握するのが困難なほど多くのCMSがあります。それらが活躍する場面は製品によって異なり、得意なことや苦手なことも様々です。今後どんどん提案される「プラスWeb」を叶えるためにCMSができること、それは個性を保ちつつも外部と手を結んで「願ったものを実現するシステム」を放射線状に広げいてくことなのかもしれません。


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