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ビジョンのはなし(後半)

一つ前の記事「ビジョンのはなし(前半)」では主にデザインについて書き留めたので、後半ではエンジニアリングとビジネス、2つのスキルについて考えてみたいと思います。

エンジニアリング?プログラミング?

私がエンジニアリングという言葉を初めて意識した時の疑問、それは「エンジニアとプログラマーはどう違うのか」ということです。そもそもエンジニアは理系の人の職業だろうという固定概念があり、文系出身の私が通るような道ではないと思っていました。それが今では三角形のビジョンを構成する要素の一つとしてカウントしているので、人生何が起こるかわかりませんね。

そこでまずは言葉の意味を理解しようと様々なサイトを巡りました。その中で一番しっくりと来た両者の違いが

エンジニア=設計士(構造)
プログラマー=大工


というものです。

私は大学では主に建築について学んでいたため、cadで図面を書いたり模型を作ったりしていました。そこで建物の動線を構想してアウトプットする際は、いつも基準となる寸法やマテリアルの性質などの知識を考慮しなければなりませんでした。しかし実際に木材に切り込みを入れて柱や梁を作った経験はありません。これを手順に沿って形にしていくならば、cadで図面を書くスキルよりも道具で素材を加工するスキルに秀でた人に頼む方が、よっぽど要領も効率も良いです。エンジニアとプログラマーもまさにそのような関係で、設計して指示を出す役割と実際に組み立てていく役割、互いに別のタスクを担当するとのことでした。

デザイナーとエンジニアは切り離すか

ではwebデザイナーを目指す上でエンジニアリングスキルをどのように扱うべきか考えていきます。先にエンジニアを設計士に例えたので、webデザイナーも同じように建築の中で探してみました。そこで一番当てはまるであろうと考えたポジションが以下です。

webデザイナー=設計士(意匠)

エンジニアとプログラマーが作ったものは機能することには十分ですが、そこにビジョンのはなし(前半) でお話しした「価値の向上を図る」デザインの力を加えることで、目的にあった快適さを提供することができます。さらにこの例では、エンジニアもwebデザイナーも構造、意匠の違いはあれど設計士です。このどちらも獲得しようとすると専門分野は多岐に渡りますが、双方が促進・抑制する関係にある以上は、どちらの知識を携えても携えすぎることはないだろうと推測できます。以上のことを踏まえて、私はwebデザイナーとしてもエンジニアリングスキルを身に付けたいと考えました。

ビジネスの世界に入るということ

3つの要素の最後はビジネススキルです。学生の本業は勉学ですね。幼い頃は「なんで勉強しなきゃいけないんだろう」と何十回も感じたものですが、学生が社会人の予備軍であるということを考えると、この応答として「社会人として必要最低限の基礎を築かなければいけないから」という見方が今のところ一番納得ができています。それは知識ではなく(もちろん教養も大事ですが)、文字や数字を例に「情報を集める力」や「考える力」「伝える力」などを身につけることです。

私は就活の際、初めて日本経済新聞を契約しました。全ての情報をひと通り理解するのは難易度が高く、わからない単語ばかり並んでいるように見えました。そのため、初めは多くの見出しとにらめっこして、情報を選択していきました。ここが先の例で言う「情報を集める力」でしょうか。私は早速欠如していました。悲しいですね。

2週間ほどたつと少し内容が頭に入ってくるようになったので、切り取ってノートに貼った記事についてコメントを書くことにしました。しかし自分の考えがなかなかまとまりません。ここが「考える力」ですね。やっぱり不足していました。

今あげた事例以外にも、「ビジネスの世界で戦っていく自分を支えるスキル」はたくさんあると思います。マーケティング、マネジメント、プレゼンなどに代表されるでしょうか。三角形のビジョンのうち二つの要素「デザインスキル」と「エンジニアリングスキル」がどれほど高くても、自己完結しては意味がありません。外部からインプットし、外部に向けてアウトプットする、そのようなコミュニケーションが取れる社会人になりたいと思います。


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